プレゼントイメージ

父の想いが込められた捨てられないプレゼント

私の実家は、お世辞にも裕福とは言えない家庭でした。
父も母もずっと共働きは当たり前で、私は幼いころから親戚の家でお留守番することが多かったのです。
いつも父と母と過ごせる寝る前のわずかな時間を心待ちにしていました。
幼い子というのは、いつも両親と一緒にいたいものなんだと思います。
いま思い返しても、いつも両親の愛情を求めていたような気がします。
近所の子供たちが制服を着て通っていた憧れていた幼稚園もお金がかかるため、通えなかったので一緒に遊べる友達も数えるほどしかいませんでした。
私は、寂しさのあまり、父に、幼稚園に通いたいという気持ちと、友達がみんな持っている三輪車が欲しいという気持ちを伝えました。
すると、予想していた通り、うちはお金がないから幼稚園には行けないんだよ。
ごめんね、本当にごめんね。
と言われました。
幼かった私は、お金がないお父さんなんて大嫌いだ、お父さんは私のお父さんじゃないんだ、などと、いま考えるとひどいことを言ってしまいました。
きっと、父はとても悲しかったと思います。
母も、そばで私の言葉を聞いていましたが、何も言いませんでした。
幼かった頃のこの記憶を覚えているのは、自分でもひどいことを言ってしまったこと、父の悲しい気持ちが分かってしまったからだと思います。
それからしばらくして、朝起きると、父がにこにこしながら私に言いました。
お前の三輪車が玄関にあるよ、欲しかった三輪車があるよ、と言ったのです。
私は信じられない気持ちと、まさか本当にあったらどうしようというわくわくした気持ちで、思わず狭い廊下を全力で走り、玄関へ向かいました。
すると、なんと本当に、新品の女の子らしいピンクの三輪車が玄関に置いてありました。
私は、本当だったことが嬉しくて嬉しくて、玄関で三輪車に飛び乗りました。
父に、お父さんありがとう、大好きだよと、何度もしつこく言った記憶があります。
その時の父の嬉しそうな顔はとても印象に残っています。
父は当時の私に、俺はお前のお父さんだよ、三輪車を買うぐらい当たり前だよ、と微笑みながら何度も何度も言いました。
私は、毎日、大切にこの三輪車に乗り、今まで寂しかったお留守番の時間が、とても楽しいお留守番の時間に代わりました。
父と一緒にいるような気がしたのです。
この三輪車は、私が大人になった今も捨てられずにいます。
父が、貧乏の中で父の存在、威厳、何より私を愛する気持ちを伝えるために、私にプレゼントしてくれた、宝物だからです。

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