プレゼントイメージ

父親からのプレゼントの思い出

私が小学生低学年の頃、レーシングセットというものが流行っていました。
それは、プラスチックでできたパーツを組み立ててコースを作りレーシングカーを走らせるというものです。
友達の家に遊びに行った時に、友達とレースを楽しんですっかり気に入ってしまいました。
私の誕生日が近付いてきた時に、プレゼントは何が欲しいのか父親がきいてきました。
そのレーシングセットが欲しいと言いました。
早速休日に、繁華街にあるおもちゃ屋さんに父を連れて行き販売しているレーシングセットを見せました。
そんなに安いものではないということは、子供ながらに何となく分かっていたように思います。
父はお店の人に値段を確かめていました。
そこそこ高価なものなのでそもそも買う事を諦めたのか、手持ちの現金が足りなかったのか、子供だった私にはよく分かりませんが、父は買うことをしませんでした。
私は欲しくて仕方がなかったので、父の足に顔をこすりつけて泣きながら買ってほしいと言いました。
父は困ったような表情をしていました。
結局、その日はそのまま買わないで帰りました。
数日後学校から帰って来て机の前に行くと、包装紙にくるまれた大きな箱が置いてありました。
開けてみるとレーシングセットでした。
父が何とかお金を工面して買ってきたのだと思いました。
その時とても嬉しかった事は今でもよく覚えています。
その夜父に大きな声で、ありがとうと言いました。
父は黙って笑顔で私を見つめていました。
また、父親から物ではないプレゼントをされた思い出があります。
私は学生の頃から休日等に時間が空いていると、父がしていた自営の仕事を手伝っていました。
二人だけで行う仕事なので他人を気にすることなく、休憩は父の判断で適宜とっていました。
その日も2時間位作業をしたところで休憩となりました。
そして何故か休憩中、父は若い時からこれまで生きてきた時の事を私に話し始めました。
戦地から復員後の戦後間もない時期に東京に出てきて就職したが、その会社は暫くして倒産してしまったとのことでした。
すぐに仕事を探し公務員関係の職に就き、定年まで勤めあげたことは私も少し知っていました。
その後身につけていた電気関係の技術を生かし自営を始めた事は、私が高校生になった頃のことなので知っていました。
そしてその日から2週間後に父は急死してしまいました。
もしかすると父はうすうす死期が近づいている事に気付いていて、私への話を最後のプレゼントとしたのではと思っています。

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